笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



彩菜はそう言って俺の手を掴むと、そのまま引っ張って歩き出した。


俺はその彩菜に引かれて、ただ彼女のあとを付いていく。


彩菜の、長い髪。


その髪は、制服のスカートと一緒に風になびく。


彩菜はいつ見ても、本当に魅力的で。


――触れたいと、思った。


俺は彩菜の後ろ姿を見ながら、彩菜に掴まれていないほうの手で――


そっと、その髪に触れた。