私が言えるようなことなんて、何もなかったから。 何も言わず、そのまま奏の話を聞き続ける。 「でも俺は大切な人は作らなかった、守れねぇから」 奏は、自分の髪の毛を手のひらでかき混ぜるようにして。 そう言って、笑った。 もう、とにかく辛かった、奏の笑顔が、苦しくて。 私は思わず、目をそらしてしまった。 でも今日はまだ出されていないから、紅茶の表面にその視線を逃がすことはできなくて。