笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



窓からやってくる蒸した風で私のスカートがほんの少し揺れ、奏のズボンをくすぐって。


奏のゆるく締めたネクタイが、私の頬を軽く撫でた。


顔を上げれば、奏が私を見ていて。


その瞳に映る、私がいて。


体温が上がって、心臓が音を立てる。


くすぐったくて、緊張する。


「あ、ごめん」


珍しく動揺した私が返せた言葉は、きっとぎこちなかった。