笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



りぃの優しさに胸を打たれて、思わず言葉を失っていたけど。


りぃに名前を呼ばれて我に返り、私は話を続けた。


「…昨日担任に雑用を頼まれて…職員室から教室まで帰る間に、一人の…少年に出会ってしまって」


自分に起こったことをこうやって自ら話すなんて、私にとっては珍しいこと。


だから上手く伝えられるか分からないけど、とりあえず自分の言葉で話してみる。


「少年?何それ、恋の予感?」


りぃは授業に出なかった私を注意するどころか、勝手に私の話を恋バナへと仕立て上げ、そう言いながら楽しそうに笑った。


――恋の予感。