笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



徐々に、体温が上昇していく。


「…もう少し、ここに居ろよ」


それは、この空間のように甘い声で。


でも強引なんかじゃない、優しい笑顔を浮かべた声で。


耳元で囁くように伝えられた言葉。


急に積極的になった彼に、戸惑いつつも、何故か。


――ドキドキしてしまうなんて。


授業をこれ以上欠席するわけにはいかないからここを出なくちゃ、という私と、奏のそばにいることも大切だからここにいたい、という私が戦い始める。