笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



背は高いのに華奢な体型で、とことんスラッとしているように見えていた、奏。


でも背中に感じる奏はただスラッとしているだけではなかった。


身体には適度な厚みがあって、私の右手に触れた手は骨ばっていて、ゴツゴツしていて。


――男の人なんだと、思った。


いや、もちろん奏は男だと分かっていたけど。


こうやって抱きしめられると、男女の体格差を感じる。


急に起こった出来事に固まってしまった私は、身体が動かないのは言うまでもなく、声すらもまともに出すことができず、ただそのまま奏に抱きしめられていた。


音を立てているのは心臓なはずなのに、耳の奥の方までその音は響いていて。