笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



「それが、依美の本当の幸せなんだな」


――私が不安になる必要は、なかったようだ。


奏は何も気にすることなく、笑顔で紅茶を一口飲んだ。


良かった。


気を悪くはしていないみたいだ。


しかしそう安心した瞬間に、別の感情を思い出した。


――違う。


奏はマイナスな感情を出すことができない。


もしかしたら気を悪くしているかもしれないんだ。


それでもその感情を表に出すことができないから。