「依美?」 その声は。 確かに、私の元に届いた。 父親でもない、母親でもない、その声は。 その呼び方で私を呼ぶ、もうひとつの声は。 「…――奏」 そっと、ドアを開けた。 開けて、しまった。 目の前に広がる、パステルの世界。 その中で微笑む、彼の姿。