それなのに。 ――笑えなくて、ごめん。 その気持ちを、手で受け取ることしかできなくて、ごめん。 あたたかい気持ちを返すことができなくて、ごめん。 「依美の分のケーキはとってあるから、明日でもお腹がすいた時に食べなさい、今日はゆっくり休みなさい」 父親はそう言って、もう一度私に笑いかける。 もちろん父親は、私に何があったかなんて、知らない。 むしろ、私本人がまだ自分に何が起こったか知りきれていないと言ってもいいほどなのに。 どうして、その全てを察してくれるのだろう。