笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



“漢字を聞くのを忘れていた”。


私の名前は“エミ”だと知られたことになったけど、どういう漢字で表すのか聞いていない、ということだろう。


ただでさえ“エミ”の発音が好きではない私。


その説明を求められて嫌な気持ちにならないほど私は優しくなかったし、奏は私自身が自分の名前を嫌いだと知っていてわざと言わせているのかなんて考えてしまい、私の性格のよくない部分が出てしまったと思う。


いや、奏は何も知らないから、悪くはないのだけど。


私の口から言いたいことではなかったのは、確かだ。


だけど。


私はそっと、文字を打つ。