「音春・・・ちゃん。」

「・・・ご、ごめんなさい!」

見てはいけないものを見てしまった

そう感じた音春は台所を去ろうと扉を開けようとする。

「待って。音春ちゃん。

・・・こっちみてごらん?」

恐る恐る振り向く音春。

まだ音春が見たままのカオルさんの姿だった。

「音春ちゃんは、初めて見たのか・・・。

私のこの姿。」

「・・・は、はい。」

みんな人間ではないと言われてはいた音春だが、

初めてその姿を見て驚きを隠せなかった。

「・・・いいのよ。

これから慣れてちょうだい。

これが本当の私の姿だから。

・・・さ!手伝って!音春ちゃん。」

「・・・は、はい!」

まだ少し動揺を隠せないまま

料理の手伝いを始めた音春。

その手は微かに震えていた・・・。