「・・・お主その格好はなんだ?」

頭に響く低い声。

「・・・え?」

音春の目に移ったのは

茶色の髪を後ろで一つにくくった、

凛々しい真っ黒な瞳の、

冷たそうな男性だった。

今にも泣き出しそうな声で

音春は答えた。

「私、白狐を助けて、

その白狐の血を舐めて、

あ、白狐は足を怪我してたんですね。

それで・・・それで・・・」

そこから先の記憶が思い出せない。

(あれ、私その後・・・何があったんだっけ。)

「・・・いったん黙れ。」

「・・・あ!

す、すいません!」

「もしや、


お前が李斗のこと助けたのか?」

「へ?

李斗ってだ・・・」

そういって音春の手を強く握って

「特徴も確かに似ている・・・。







俺についてこい。」

といいながら足早に歩いた。

「あ、あの!

お名前は?ここは?」

「・・・・・・」

無言のまま引っ張られるがままに

彼のあとを音春はついて行った。