白狐は足をけがしており引きづっていた。


こんなとこにいるはずのない動物。

驚きよりも先に

「・・・大丈夫?」 の言葉が口から出た。

音春が近づくと

白狐は人懐っこそうに

怪我した足を引きずりながら

懸命に小さな体を寄せてきた。

音春は優しくそんな白狐の足を持ち上げて

血が出ている箇所にタオルを巻いて処置した。

「よし!

これで大丈夫・・・。」

白狐は感謝するように頭を下げ、

街路樹の影へと消えてしまった。

「なんでこんな所にあんな子が・・・。」

疑問に思った音春は自分の手を見る。

手についている少しの白狐の血を

舐めとる。

その瞬間・・・

激しい頭痛とめまいに襲われた。