白夜と呼ばれた人は

優しい笑顔で音春のことを見つめる。

「あ。

自己紹介してなかった!」

「僕の名前は西門白夜(せいもんはくや)

だよ!

よろしくね!音春ちゃん!」

明るい笑顔に引き込まれそうになりながら

「よろしくお願いします!」

と音春は返す。


「・・・こいつのこと

李斗のとこまで連れてってやってくれ。」

すると白夜は輝くような笑顔を

一瞬曇らせ、また笑顔になる。


「おっけ!

じゃあいこっか!

音春ちゃん。

僕と一緒に行くか。」

白夜が音春の手を斉御司からとった。

でも音春は

斉御司から離れることができなかった。

「・・・ん?どうしたの?

音春ちゃん。」

「・・・斉御司さんは?

一緒に行かないの?」

「・・・・・・」

無言の斉御司の代わりに紫苑がいう。

「うん。

冬青は別の用がこれからあるの。」

「・・・そ、そっか。」

音春は斉御司の手から離れ、

「斉御司さん、

ありがとうございました!」

深いお辞儀をしながら音春はいった。

斉御司は何も言わずに背を向けて消えた。

「・・・照れ屋なんだから。」

「・・・え?」

「ううん。

なんでもないよ。いこっか。」

「は、はい!」

音春は手を引かれ、

白夜に導かれるがままについていった。