「・・・音春ちゃん。洗濯物お願ーい。」

「はーい。」

カオルから洗濯物を干すよう頼まれた音春。

・・・外は既に真っ暗。

ここで生活してだいぶん経ったが、

この暗さにはまだ慣れない音春。

まだ少し怖さがある。

「・・・1人で大丈夫?音春ちゃん♡」

「・・・大丈夫です。カオルさんは

あったかいうちに、

お風呂入ってきてください。」

「・・・そう?ありがと♡」

お風呂に向かうカオルを見送った音春は、

蝋燭を片手に持ち、真っ暗な庭を1人で歩く。

そして、少しして物干し竿に着く。

(・・・早く干して、戻ろう)

そう思い、洗濯物をさっさと干していく。

あとひとつになった時・・・

「・・・お前か。噂の人間の女ってのは。」

聞いたことのない、低い声が音春の真横で、

耳元に響く。