「あーい!」



名前を呼べば振り向くアイツ


「チッ。」


…舌打ちをしながら



けど、それは照れ屋な君の照れ隠しで



もしかしたら、いつも俺に対する彼女の言葉は、不器用な君の精一杯の愛情表現だったのかもしれない



俺は笑顔で愛の手にある荷物を奪い、スタスタと先を歩く


「ちょっと!返してよ!」

「だーかーらー!少しはその優しさを自分のために――…。」


「だから、半分返してよ!」


「…はっ?」


愛の予想外な言葉に俺は呆然とする


その間に荷物の半分を愛に奪われる


「この方が一緒に持っていけるでしょ…。」


前を歩く愛を見ると顔を見なくても真っ赤なことが分かった


「…愛、耳まで真っ赤。」

俺が呟くと、愛は勢いよく振り返り


「うるさい!!」


真っ赤な顔で言ってきた



俺は可笑しくて、思わず吹き出す


「ちょ、何笑ってるのよ!!」


「いや、別に。」


片手で顔を隠しながら答えると、愛は怒って歩きだす






…愛、



照れ屋で不器用で、でも人一倍頑張り屋で優しくて



そんな君は俺の大切な存在




「愛!」


「わっ!」




だから、俺はそんな不器用な君に想いを伝えるよ








「愛、大好きだ――…。」




愛しい君へ何度でも。








―END―