「…話してぇなぁー。」


あれからしばらくたった今も愛は俺を避け続けて、そして俺も愛に話しかけなくなった


「そんなに死にそうになるくらいなら話しかければいいじゃねぇか。」


屋上で寝転がりながら斗真が呟く


「…できるならそうしたいよ。けど…。」


「けど、何だよ。」


斗真が下から見てくるから俯きたくても俯けない


「愛の迷惑になりたくねぇんだよ。」


俺は雲一つない空を仰ぐ


「前から思ってたけどさ。」


斗真は起き上がり、俺の隣に座る


「迷惑迷惑言ってるけど、それ誰から聞いたんだよ。」


「はぁ?この前言ったじゃねぇか。南に直接――…」

「だからなんだよ。」


「はぁ?」


意味分からん


何言ってんだ、こいつ


「お前は北野さん本人から聞いたのかよ。」


「…愛、本人から?」


「ああ。本人に言われたのか?南と付き合ってるって。」



あ、愛から…?



「…言われてない。」


だって俺、愛自身に尋ねることさえしてない


…俺、勝手にふられたとか思ってたるけど


告白してない―…


愛の口から愛の気持ちを知りたい



俺は横に座る斗真に顔を向ける


斗真はニヤッと笑い頷く


「行ってこい。今度は他人に邪魔されても北野さんのところに行けよ。」


「分かってる!」


俺は斗真に笑顔を向けて、屋上を飛び出した