理科室に行くと、

ほとんどの人がもう集まっていた。

時計を見ると、10:48くらい。

ぎりぎりだ。

「あ、綾香教科書見つかった?」

夏海が声をかける。

「あー、ううん。

なかったから、今回は

隣の人に見せてもらおうと思ってる。」

「そっか、教室戻ったら、

一緒に探すよ。」

夏海は笑顔を残して席に戻った。

「あ、ねぇねぇ、

今日さ教科書忘れちゃったから

見せてくれない?」

隣の佐々木くんに声をかける。

「ん、いいよ。」

「いぇい、ありがと!」

その時は気づかなかった。

周りの女子たちの視線に。