「ここが、化学室ね。 それで、こっちが会議室。 それから…。」 「なぁ。」 「なに?」 人がせっかく説明してるのに。 「あの時は、ごめん。」 …。 「どの時のこと?」 「別れ話したとき。」 あぁ。 あの時ね。 「別に、平気。 そこまで引きずってないから。」 うそ。 本当は引きずってる。 今だってすごく動揺してる。 でも、それを悟られないように必死に 平常心を取り繕う。 「そっか。」 そうつぶやいた彼の声が あまりにも切なくて、 彼の顔が見れなかった。