消毒液のにおい。
カラカラと点滴を押して歩く音。
ここから見える景色すら
もう見慣れてしまった。
…今、私がいるのは中央病院。
今日は2週間に1回ある、定期検査の日。
「立花ちひろさん、第2診察室へどうぞ。」
名前を呼ばれ、私はなんの躊躇もなく、
診察室へ入った。
「失礼します。」
「こんにちは、ちひろちゃん。」
扉を開けると、いつものように
星野先生が笑顔で挨拶してくれた。
「座って?」
軽く会釈をし、先生に促されて
椅子に腰を下ろす。
「ちひろちゃん、最近調子はどう?」
「…調子は…いい方だと思いますけど。
少し…立ちくらみが酷くなった気がします」
私がそう言うと、先生は一瞬、
顔を曇らせた。
「…そう。
じゃあ、ちょっとした検査を受けてもらって
いい?すぐに結果は出るから。」
「はい。」
それから10分ほど検査を受けて
待合室で、結果が出るのを待った。
