キミと出逢えた季節〜最初で最後の恋〜




溢れ落ちそうになる涙を、必死で堪える。




家に着いて、真っ先に自分の部屋に向かった。



部屋へ入って、扉を閉めた瞬間。


ポタ、…ポタ。


我慢していた涙が、一気にあふれた。




それと同時にめまいがして、


ドアにもたれかかったまま床に座り込んだ。




「………う……うぅ……っ…。」




苦しい。

辛い…。


息が苦しいとか、そんなんじゃなくて、



胸が、苦しい。…胸が、痛い。






『俺…お前が好きだ』



あの言葉、本当にすごく嬉しかった。


こんな私なんかが、

好きな人と両思いになれるなんて、

考えたこともなかったから。





蒼はあのとき、

真っ直ぐ私を見てくれた。




目を逸らさないで


真っ正面から、気持ちを伝えてくれた。





だから…


私も自分の気持ちを、本当のことを全部


言ってしまいたかった。




でも、自分が病気であるという事実が、



私自身を苦しめるの。



こんなこと、今更思ったって、


どうしようもないこと、分かってるけど。


考えずには、いられないよ。



だってさ、…病気なんかじゃ、なかったら…。


もし私が、普通の女の子だったら。



…素直に好きって、伝えることができたのに。





…それなのに、


神様は…意地悪だね。








もうすぐいなくなる人間が、




好きだなんて無責任なこと、言えないよ。