ガキの頃から、自分の気持ちを

他人に伝えることが得意ではなかった。




ずっと、

…バスケしかしてこなかった俺は、





涼介や周りの奴らが付き合ってるとか、



クラスの女を可愛いと言っていたこととか



よく…理解できなかった。





まあ、…理解したいとも思わなかったけど。







涼介はよく、小百合が幼馴染みであることを


羨ましがっていた。



理由はわからない。










だけど、



ガキの頃からずっと一緒で。



記憶の中の俺の隣には、必ず小百合がいる。




小百合の隣は…心地いい。



何も取り繕うことなく、


いつだって俺は、…俺のままでいられる。







こーゆう感情が、〝恋〟ってやつなのかと


ぼんやり思ったこともあったけど。








…違った。






あの日、気づいたんだ。




インターハイ予選の、…決勝戦の日。



あの日の帰り道。




小百合の言葉に、…気付かされた。








『ーそれってさ…〝恋〟じゃないー?』



『ー蒼にとってちひろが

特別ってことだよー』





あのとき。俺はなんで



小百合の言葉を否定しなかったんだ?






答えは1つ。



わかっていた。




ただ、俺が気づいていなかっただけで。





それが、事実だったからだ。