キミと出逢えた季節〜最初で最後の恋〜

過去 〜蒼side〜




ボールの弾む音。



周りの歓声が、遠く感じる。



息が上がって、





汗は流れ落ちてくる。






試合でしか味わえない、





この緊張感。







もっと…ここにいたい。





コートに立って、もっと




高い舞台へ行きたい。







「蒼!」




涼介からパスを受け取り、




俺はゴール前に回り込む。






ー集中ー。






フォームを崩すな。




完璧な姿勢、完璧なタイミングで。



まっすぐにリングを見つめ、


俺はボールを放つ。





放ったボールはキレイな弧を描き、







パシュっと乾いた音を響かせ、







ゴールに吸い込まれた。









その瞬間、湧き上がった歓声すら、




遠くで聞こえるようで。











…点を決めても、





相手チームはいとも簡単に





取り返してくる。






58-69










……差が縮まらねぇ…。





残り時間は……あと3分。





…時間がない。




なんとかしねぇと…。


あと少し。



『高校では絶対、 全国行こうな!』


ふと涼介の言葉が、脳裏に蘇った。

中学のとき、約束したんだ。


あと、…一歩。




なのに。


ここで、…






こんなところで、





終わってたまるか。





負けてたまるか…。






勝って、全国へ行くんだ。



…俺たちは。





相手のパスをカットし、



俺はリング下へ向かう。






…時間がない。



一本でも多く、



シュートを決めないと…!




俺が、点を取ればいい。


ー勝たなきゃいけないー




俺なら、…決められる。





ー約束したからー





だったら、




俺が、やればいいんだ。




勝つこと以外に、





選択肢なんてない。