「すごいね…蒼。」
「…うん。」
すごい、以外の言葉が出てこない。
コートの中を動き回って、
息が切れてるの、分かる。
真剣な顔で、
本気でやってるのが、伝わってくる。
なのに…なんでだろう。
わからないけど。
このとき、ただ唐突に
…見ている世界が、…違うと思った。
45-56
うちの学校…負けてる。
それに…
最初と比べて、
蒼がシュートを決める回数、
減ってる…よね?
「……蒼、…焦ってる…
このままじゃ…」
「…小百合…?」
小百合が何か言ったけど、
周りの声援や歓声にかき消されて、
聞こえなかった。
ボールの動きは止まらない。
すごいスピードで、試合は流れて。
パスをカットされたら仕返し、
その繰り返し。
ここから見ているだけでも
気を抜いたら置いていかれそうになる。
54-65
なかなか追いつけない。
やっぱり、…決勝戦だから、
そう簡単に勝たせてはくれないんだ。
それに…
なんだか、さっきから…
違和感を感じるの。
私の気のせい、なのかもしれないけど。
蒼の動きが、…最初と…違う気がする。
