それから他愛もない話をしていたら、
あっという間に目的地に着いた。
中央体育館は駅を出てすぐのところ。
私たちは体育館の中へ入り、
観客席になる、二階へと向かった。
…すでに人、多いな。
「体育館、大きいね…人も多い…」
私の隣で、目をパチクリさせているちひろ。
「こんなたくさんの人たちがいる中で
蒼たちは、戦うんだね」
ボソっと呟いたちひろの言葉に
私は一瞬動揺してしまった。
……〝蒼〟……?
「…あらら、名前呼び?!
ちひろったら
いつの間に蒼と仲良くなったの?!」
顔を近づけて少し食い気味に問いかけた私に
ちひろは嬉しそうな顔で
答えた。
「…終業式の日、いろいろあって。
私は片倉くんのことを名前で呼ぶことに
なったの」
その日は確か…
二人は委員の仕事を任されてたんだっけ…
「いろいろって、気になる〜!
そこんとこもっと
詳しく掘り下げたいんだけど!」
「そこは秘密ってことで♫」
いたずらっ子のように無邪気な顔で
笑ったちひろ。
二人の仲が良くなることは
私もすごく嬉しい。
…いや、…知ってた。
二人を見ていたら、分かる。
それに、気づいてしまった。
少なくとも、蒼の気持ちは。
…他人によく言われるけど
私は勘がいいらしいから。
きっと、ちひろも同じだと思う。
「ね、一番前に座ろう?」
そう言ってはしゃぐ姿に、
「うん。」
小さく笑いが溢れた。
ねえ、ちひろ。
私は、応援するよ。
大好きなちひろと、…蒼のこと。
二人なら、きっと大丈夫だと思う。
…だから、いつか教えてね。
ちひろの口から、直接。
そしたら…
私も、きっぱり諦めるから。
