あれ…なんだろ。
なんか…。
「……おい、悪かったって。
そんな不機嫌そうな顔すんなよ。」
突然ため息をつき、
こんなことを言った片倉くん。
不機嫌…って…
「…いや…私。
全然不機嫌なわけじゃ、ないんだけど…」
だけど、
…なんだか、胸がモヤモヤする
のは、…気のせいじゃない。
「…そうか?俺が遅れてきたから、
怒ってんのかと思った。」
「いや、そんなことで怒んないよ。
何か事情があるんだろうし。
それに、謝ってくれたんだし。」
そうだよ。
分かってるのに。
何にモヤモヤしてるの、私。
別に、何も気にすることなんてない。
片倉くんが、…何をしてたか、
ましてや誰と一緒だったか…なんて
全然関係ないんだから。
「…おい…さっきから手止まってるけど」
いけない、…ボーっとしてた。
「えっ…、いやいや、止まってないし!
バリバリ動いてるし!」
片倉くんの言葉にハッとし、
私はすぐさま作業を再開した。
…この沈黙にも、さすがに慣れたよ。
…二人だけの教室に、
窓の外から、セミの鳴き声が聞こえる。
「ねぇ、片倉くん。勝負しない?」
私は沈黙を破ると同時に、
片倉くんの手から
閉じ合わされたプリントを取り上げた。
