3度目の春 〜ちひろside〜


17歳、春。

暖かい春風が木々を揺らす。

桜、満開だ…。キレイ…!





ヒラヒラと舞い散る桜の花びらを見つめながら
私、立花ちひろは高校の門をくぐった。

高校生になって3度目の春。


新しい季節に心が弾む。

「ちひろー!」
後ろから名前を呼ばれ、振り返るとそこには
笑顔で私に手を振る、水野小百合の姿。

「おはよっ。小百合!」
「おはよう」

隣に走ってきた小百合に笑顔で挨拶をする。
小百合は高校1年のとき、

最初に仲良くなった友達。


ショートカットの黒髪がよく似合う、
キレイな顔立ちで。



性格もサッパリしているから、小百合は男にも女にも人気がある。


大して美人でも可愛くもない私とは、正反対な女の子。

だけど、一緒にいて、

笑わない日なんてないくらい、
今の私にとって小百合は大好きで、

大切な存在なんだ。


「ねぇちひろ、また髪染めた?なんか前より明るい色になってない?」

私の髪を見て、怪訝な顔でそう言った小百合。


「染めたけど…そんなに色変わってないよ?」

そう。

私の髪は、小百合の黒髪とは違って、少し明るめの茶髪ロング。

小さい頃から髪を染めることに憧れていた私は
高校に入ってすぐ、髪を染めた。


自分ではこの髪の色、
結構気に入ってるんだけど…。


しっかり者の小百合は、高校生から髪を染めるという行為を、よく思ってないみたい。



「髪、いじりすぎたら傷んじゃうから、少しは控えなよ?」
「うん、分かってる。」


少し困ったように笑う小百合に、私は明るく言葉を返した。