キミと出逢えた季節〜最初で最後の恋〜





「けど」



突然立ち止まった小百合の方を見る。







「…バスケ以外のことで、蒼が必死になってるの…久しぶりに見たよ。」





…嬉しそうな……いや、

どこか悲しそうな表情。









「…そうさせたのは、ちひろなんだね。」







ボソっと何か言ったようだけど、それは
俺の耳には聞こえなかった。







「今なんて…」







「…なんでもない!」







いつもの笑顔を浮かべ、明るい口調で小百合は歩き出した。






…意味わかんねぇ…。











「ねえ、蒼はちひろのことどう思ってるの?」





…唐突すぎる質問に、一瞬思考が停止した。





「……は?…いきなりなんだよ」










「いいからほれ、言ってみなって!」





意味深にクスクス笑うコイツは、

さっきとは打って変わって
楽しそうな顔をしてる。










「別に、なんとも思ってねぇよ。」




「嘘はダメ!」




ビシっと俺を指差し、はっきり言われた。


…嘘を言った覚えはないんだけど。





「何年の付き合いだと思ってるの。
蒼が嘘ついてることなんて、すぐわかる」



…まっすぐに俺を見る小百合から
視線を逸らした。



…ガキのころから、コイツは
人の気持ちを見抜くのが上手かった。






「…どう思ってるとか、考えたこともない」





本当のことだ。


俺は小百合と違って、人の意思を汲み取ることができない。



だから〝誰か〟に対して自分の気持ちを
深く考えたことなんて、なかった。



「ただ、」


『よろしくね!』


『星がすっごくキレイ!』



『…行けなくてごめんね』




『大丈夫だよ。』





「…目が離せない奴、ってだけだ」



初めに見たのは、泣き顔。



よく笑って、無駄にテンション高くて


…意味わかんねぇとこで腹を立てる。



…俺は、あいつのこと、何も知らない。



「…そうなんだ?」


ニヤニヤしながら横目で俺を見る小百合。






「なんだよ…」


面白がっているようにも見える笑顔。


「別に〜?」







幼なじみって言っても、
小百合が何考えてんのかも、…わかんねえ。




「まあ、安心して。私は応援するから!」





ぽんっと背中をたたかれた。



「いや…何をだよ」



全然意味がわからない。



俺の言葉をスルーして、鼻歌を歌う小百合。



ため息をついて、俺は小百合と並んで歩いた。