キミと出逢えた季節〜最初で最後の恋〜


「来週土曜に、中央体育館で試合があるんだけど…見に来ないか…?」




落ち着かない様子の彼の遠慮がちな発言に、
私は思わず笑ってしまった。



いつも余裕な顔で
なんでもこなしてしまうのに


今日は、片倉くんの色んな顔が見れた気がする

それを嬉しいと思ってしまうのは、

どうしてだろう。

「…笑ってないで、答えろよ。」

土曜…特に用事もないし、大丈夫かな。




何よりバスケの試合…面白そうだし!




「行く!小百合と一緒に、応援しに行くよ!」


私が笑顔でそう答えると、
片倉くんも笑ってくれた。






その笑顔に、また、胸の鼓動が早くなった。




「あ…試合って、さっき言ってた大会の?」


私に背を向けボールをバウンドさせる彼に、質問を返した。


「あぁ。…高校最後の大会。決勝で勝てば全国に行ける。」



勝てば、全国…。

「それって、
1回負けたら、終わりの試合…?」



「…そうだ。…けど」


静かに言って片倉くんはボールをセットし、リングに向かって放つ。



パサッとボールがネットに入ったことを告げる音が、聞こえた。


「俺たちは負けない。」

不意にこちらを振り向いた彼は
今まで見たことないくらい、真剣な表情で。



「予選も、決勝も、全部勝って全国へ行く。」



絶対的な自信に満ちて力強く、
堂々とした片倉くん。


本気で上を目指していることが、わかる。




…すごい…。

「やっぱり…すごいよ…」



すごくて、…かっこいいよ。




「…?」



「片倉くん、私、もう行くね!」

「ちょっ…」

それだけ言って私は体育館を飛び出した。