君×私×彼


私のちょっと不可思議な行動に

美紗希からの視線が気になったけど

なんとかやり過ごせた




と、思う…

というか思いたい




午前の授業を受け

いつものように美紗希とお弁当を食べて

体操着に着替えて体育館に向かった


次は体育の授業


怪我が完全には完治していなかったので

見学させてもらった


皆が楽しそうにバレーをしているのを

風当たりのいい外に面したドアの所で見ていた



バレー

やりたかったなぁ



球技の中でも一番好きなバレーの見学は

憂鬱の塊だった



教室棟を見ると

どの教室も窓を開けていた


今日はこの季節にしては暑い日だった



先生の話を聴いてる人


居眠りをしている人


誰かと喋ってる人



窓側の席しか見えないけど

いろんな人がいるのが見えた



えーと…

あそこは二階だから一年生のクラス

かな?



授業は何してるのかな



先生の立っているであろう黒板の前を見るが

角度的に見えなかった



でも聞き慣れたあの声がした




「ここの意味、調べてきたかー?」


「すみません!忘れました!」


「なんだと~?次の授業までには調べてこいよ?」




男子生徒と話す

柳田先生の声が微かに聞こえた



ってことは古典か…



今日は古典の授業あったっけ?

んー…

どうだったかな…?




「なーに見てるの?」



休憩に入ったのか

美紗希が隣にやってきた



「えっと…柳田先生が授業やってるなぁ、って思って…」


「え?どのクラス?」


「あの真正面の一年生のクラス」



私が指をさして教えると

美紗希は「ん~?」っと言いながら

頑張って教室の中の先生を探した



「全…っ然見えない!よく柳田先生だって分かったね」




ドキリとした

美紗希は変に感がいいところがあるから




「そ、それはさっきたまたま先生の声が聞こえたから!」




美紗希は特に気にしたふうでは無く

休憩が終わったのかすぐに皆の所へ戻って行った




これは危ない


私、思った以上に先生に対して

敏感になっているみたい


気を付けないと…



教室棟の方に背を向け

あくまで見学をしているような格好にした



その後も

靴の擦れる音やボールの当たる音

賑やかな声の中にうっすら聞こえる

柳田先生の声を聴いていた




不思議と憂鬱だった体育も

あっという間に時間はすぎて

むしろまだここで見学しててもいいなぁと

思ってしまった