君×私×彼

「あ、俊…!」


教室へ戻る廊下で

人混みの中俊の背中を見つけ呼び止める


「ん…?どうした?」


振り返った愛しい人は

なんの疑いも無く聞き返す


「あのね、聞きたいことあるんだけど…」


そう私が言うと

俊は辺りを見渡して私の手を引いた

人の波をかき分け人通りの少ない方へ来ると

俊は口を開いた


「何?聞きたいことって」


これは俊なりの優しさだって

私は知ってる


他の誰かがいると

私が話しにくいと知っている

俊だからの行動


「朝、教室出る時に表情が暗かったから、何かあったのかなって…」


そこまで言って、ちらっと見る


視線の先には少し強ばった俊の顔があった

私を見てるようで見ていない

ずっと、ずっと先のどこかを見ているような

そんな感じさえした


「 俊…?」


私は、たまらず声をかけた

その表情を断ち切りたくて


「あ…いや、何でもない」


それだけ言って言葉が途切れる

私が不安そうに顔をのぞき込むと


「何もないから…ただの寝不足じゃね?」


なんて、言って誤魔化した


え…?

今、誤魔化したのかな

でもどうして


だけど私には

問い詰めることは出来なくて


「そっか、それならいいんだ」


話を終わらしてしまった


やっぱり、今日の俊はどこか変だ

悩んでる事があるなら言ってほしいんだけどな…

私じゃあ、頼りない…?