「あ、それ、乙女のドレスっていうケーキなんです」そう言いながら、お姉さんは、となりにあったケーキもカウンターから身を乗り出して、指差す。
「となりのこのケーキとペアになってるんですよ」
見ると、それは赤いドーム型のケーキだった。ドーム型の土台に赤とピンクのソースがマーブルになっていて、まるでドレスのひだみたい。
つやつやした半球のてっぺんには、ラズベリーがちょこんと乗っている。
さっきの、真っ白いケーキが、結婚式のウェディングドレスなら、この赤いケーキは、まるで披露宴で花嫁が着るカクテルドレスだ。
「実はですね、これ2つとも、ショートケーキなんですよ」
「はぁ………?」



