きのうは、学校が珍しく早めに終わった。どうやら、特別な会議かなにかがあるらしく、そのうえ、部活の顧問は出張で、まだ、日の高い内に家の近所に着いたのだった。
いつもの時間には、閉まっている新しいケーキ屋も、ドアノブに、「Open」の札を掲げている。
財布の中には、前日にもらったお小遣いが、そのまま残っていて、時間もあるからと、その店に立ち寄ることにした。
カランカラン
「いらっしゃいませ!」
店員のお姉さんは、焼き菓子の棚を整理していた手を止め、こちらににっこりと笑いかけた。
私が、ケーキの並ぶショーケースへ近づくと、お姉さんも、こちらに来て、カウンターの中に入った。



