徒花と蝶





ハッとした。

まただ。
…また私は、私の意見ばかりを通そうとしている。

私は間違っていない、正しいって。

…何度繰り返せばいいの?


…私はどれだけ子供なんだろう。
…私は、私の意見ばかりを通そうとして、彼の…祐輔の気持ちなど、見もしなかった。
聞きもしなかった。

…何度言っては逃げて、逃げては言ってを繰り返せばいいの。



「…無理矢理くっつけって言っていないってこと、分かった?」
「…うん」
「正面で言うことができないなら、電話で伝えたらいいじゃない」



今はハイテクなんだから。という母に、私は頷く。

私が電話をする間に、母はお風呂に入ってくると言って、バスルームに向かった。

勿論、泊まる準備なんてしていないのだから、母は何も持たずに入った。


…きっと素直じゃない私に気を使って一人にしてくれたのだろう。