徒花と蝶





「勝手かもしれないけれど、私は別れたくなかった」
「ちょっと待てよ、花楓が言ったんだろ?『遠距離なんて自信がない』って」
「…っ私は、祐輔に『できる』って言って欲しかったの!」



なんて身勝手な言い分だろうって、自分でも思う。

けれど、今も昔も、私は甘ったれていた。
誰かに甘えていて、それに気付かずに、のうのうと生きていた。

祐輔にも勿論、私は甘えていた。


私が『別れた方が良いと思う』と言ったとしても、きっと、祐輔は『別れたくない』と『遠距離だって、俺たちならできるよ』と。

そう言ってくれると思っていた。

そんな甘えが、…こういう結果を招いた。

だってまさか祐輔が、頷くとは思わなかったから。



「私が悪いのは分かってる!だからもう、祐輔といると私がダメになるの!」



祐輔と別れてすぐに、東京に住居を移した。

それからはしばらく、悲惨な日々だった。

知り合いもいない地に一人で一か月近くいた。
実家に少しでも帰ると祐輔を思い出してしまいそうで。

…負の連鎖に、捕らわれていた。