「か、…母さん?」 父が動揺しているのが分かる。 …母は近所でも良妻賢母で評判だ。 今まで父に反抗なんてしたことがなかった。 だから、母のその態度にどう対応したらいいのかが分からないのだろう。 「今日は、花楓とビジネスホテルに泊まってくるから」 そう言って母は、エンジンをつける。 「いや、何も…」 「…さあ、花楓。行くわよ」 「え…あ、うん」 母は父の言葉も聞かずに、家を出た。