「田中有希」

そう呼ばれて私は壇上へと上がる。
卒業証書を手にして、私はパイプ椅子へと座る。

今日は卒業式。

来賓の話が終わり、送辞から答辞が終わると
今日で最後の校歌を歌った。


「卒業証書授与式を終わります」

その言葉で私達は体育館を退場した。

体育館を出ると今まで我慢していた涙が
たくさん出てきた。

そんな中、うっすらと目を開けると
先生が廊下の端のほうで立っていた。





―がんばったな―


声には出ていなかったが
はっきりと、柴田先生の口元はそう動いていた。