とうとう明日は私達の卒業式となった。

放課後、下校時刻をまわったので帰ろうとした私は、少し体育館へ寄り道してみた。
体育館に足を踏み入れると、そこにはいつもと変わった風景が見られる。

ずらりと並べられたパイプ椅子に紅白幕-。

後輩達が全て準備したものだった。

立ち尽くす私はただ、明日の卒業式のことを考える他なかった。

その時、後ろから声がした。

「帰らないの?」

その声は決まって
私を困らせる人―

大好きな人。




「柴田先生」