私が授業中、ぼんやりとしていることはけして、珍しくはない。
冬にしては暖かな陽気に誘われ、徐々に瞼が重たくなる。

こくり、こくりと頭が下がっては何とか起きていようとまた、視線を上げる。
かろうじてその様子は教卓の前に立つ、教師にはばれていないようだ。

今の数学の授業が柴田先生の授業だったらどんなに嬉しいことか…。
それは想像するだけ無駄なのかもしれない。
なぜなら、柴田先生は私の学年の数学を担当していないからだ。

そういえば、そろそろ、期末テストの期間に入る。3年生最後のテストだ。

最後のテストだからせめて数学は良い点数をとりたい。
そして私の頭の中は先生のことでいっぱいだった。
もちろん、私は先生のところに足を運ぶ。

「先生、」

「うん?どうした?」