「何ですか?」



柴田は一度手を止め、有希の方に振り向く。


「先生、この問題を教えてほしいんです…」


有希はシワがかかった紙を柴田に見せる。
有希の指をさしたところは赤ペンでペケが付けられていた。
柴田に見せている紙は、昨日のテスト用紙だ。


「そんなの、自分の担当の先生に聞きなさいよ」

一度、テスト用紙を見た柴田は苦笑いをしてそう言った。
そんなことを言われるのは当然だろう。
柴田は担当の先生では無いのだから。



「でも…」