結局その日は田中有紀に1度も会わなかった。
彼女は自分に何を言いたかったのだろうか…。
部活が終わり、職員室に戻ってもずっとそのことを考える。


生きる意味。
そもそも、人間いつかは皆死んでいく。
人間に生きる意味は無いのかもしれない。
だけど---…



「柴田先生」

隣のデスクで作業している同僚に声をかけられ、はっと我に返った。
すみませんと言った後、自分は作業を始めた。