僕は放課後、図書室に通っている。


別に本が好きだから
毎回通っている訳ではない。

勉強しに来るわけでもなく、
居心地が良いからでもない。


ただ、

毎日ここで見かける
あの子に会いたいから。


それだけの理由。


図書室の入口近くのカウンターに
座っている女の子は
いつも静かにじっと本を読んでいる。
ただひたすら。

僕と彼女以外、誰か来るわけでも無いのに…
彼女は静かに本を借りに来る
生徒を待っていた。


そして僕は彼女に話かけることも無く、
静かに読みたくもない本に
目を落とすのだった。