まぁ、彼女が降ってくるように見えるのは、あまりの出来事に僕の脳が追いついていないからかもしれないけれど。

でも、そんなことは今でもどうでもいい。
とりあえず彼女を助けなければ。
僕には助ける義務がある。

この高さから人が落ちれば、重さもすごいことになっているだろうな。普通なら、腕一本もっていかれるな。いや、腕ですまない。こちらも死んでしまう。





しかし、僕は躊躇せず、ゆっくりと歩き、彼女を受け止める為、両手を宙に差し出した。



なぜ、僕がこんなにも冷静なのか、こんなにも大胆な行動をできるのか疑問に思う人もいるかもしれない。


なぜなら、僕は非日常には少しばかり、普通の人よりも、慣れている。





それに僕には秘密がある。









僕は絶対に血が流れない。つまり、怪我などで命を落とすことはない。まぁ、体内には血が流れているだろうけれど。




しかし、困ったことが一つある。




痛みはしっかりと、通常の人と、同様感じることだ。



だから、少し、いや、かなり、彼女を受け止める事を決意した時は強かった。
足が、がくがくと震える。



しかし、不思議な事がまた起きた。