でもそんなとこが羨ましい。

積極的で明るくて可愛い。
あたしは全然違う。


「李心!あの人じゃない?」


いろいろ思ってるうちに杏心が先に噂の人を見つけた。


「どれ?あの壁に寄りかかってる人?」

「そうそう!かっこいいね!」


彼は友達と話をしながら笑いあっている。

制服もうまく着崩していて、髪は茶色に見えるけど黒っぽい。

それに優しそう。


「李心はどー思う?」

「なにが?」

「かっこいいとかかわいいとか、」

「普通かな」


あたしはあえてかっこいいとは言わなかった。

かっこいいなんて言ったら杏心になにを言われるかわからないからだ。