春が通り過ぎて、夏がやって来た。
冬服から夏服に変わり、暑い日が続いた。


登校初日以来、逢坂くんとは会わなかった。

会わなかったといえば嘘になる。
あたしが避けていた。

少し学校に慣れた頃、杏心に逢坂くんのことを言われたが知らないふりをしていた。


『ね!知ってた?あのかっこいい人、逢坂くんだったね!』

高校でもモテモテの彼はすでに何人もの女の子に告られていた。

なんかムカつく。


「李心、そんな怒った顔してどうしたの?」


「あー、なんでもないよ」


話しかけて来たのは、高校で友達になった茂木沙絢だった。

沙絢はサバサバしていてすぐに口に出しちゃう人だ。