柊は自分の部屋へ行くとふわりと優しくベッドに降ろされた。
柊の部屋?
「.........怪我、手以外ないな?」
柊は私の包帯で巻かれた手を握りながら言う。
「うん、ないよ.......」
私はその握られた手を見ながら言う。
こんな大袈裟に巻くことなかったのに。
全然痛くないもん。
ただ、ひさしぶりに見た血がまだ目に焼き付いてる。
赤くて、黒くて。
私はぞくっと鳥肌が立ち、こわくなって柊に抱きついた。
「.........夢彩」
そんな私を、柊は抱きしめ返して頭を撫でてくれた。
怖い....
戻りたくない......
「1人にしないで......」
私は消えそうな声で言った。
「1人にさせない.........」
柊の声は、私に届くことはなかった。


