私は手をぐっぱぐっぱ開いたり閉じたりする。
そして首を回す。
うん、大丈夫。
.........少し静かになった。
私はドアを少しあけ、みんなにバレないように外に出た。
そして素早く物陰に隠れる。
さっきより戦っている人数が減っている。
乱舞のほうが優勢、かな。
「なーにみんな必死じゃん。さっきの子、初めて見たよ」
さっきの男だ。
えっと、柳。
「はっ。うるせぇな。
喧嘩くらい黙ってしろ」
利亜が言う。
「なるほどね、大切なんだ?」
柳がそう言って血の混ざった唾を吐く。
汚い.........。
私は長い髪を1つにまとめた。
そして物陰から出た。
「そんくらいにしたら?」
そして柳に向かって言う。
「お、自分から出てきたのか。
探す手間が省けたなぁ」
柳はニヤッと笑う。
気持ち悪い。
「お前!」
利亜が聞いたこともないような怖い声で言う。
"お前"というのはきっと、名前を相手に知られないようにだろう。
「私が狙い?」
私は利亜を無視して言う。
「あぁ。こっちきなよ。ここよりずーっと楽しいぞ?」
イッた目してる。
この目、たくさん見てきた。
「へぇ......」
「おい!」
柊が声を上げる。
「.......私、そんな簡単に行かないよ?」
私はニヤリと口角をあげて柳を見た。
「.....おもしれぇ。」
柳もニヤリと口角をあげる。
そして私は柳に向かって走り出した。
柳も同時に私に向かって来る。
遅い。
バキッ
「ぐっ....!」
私は柳の懐に一発入れた。
すると柳は膝をついた。
バキッ
もう一発柳の顔に入れ、回し蹴りをしたら柳は倒れた。
「......なんだ、弱いんだね」
私は手をぱっぱと払った。


