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「わぁ、すごいね!」
パチパチと光る花火。
綺麗だ。
「でしょー?夏感じる〜!」
利亜は嬉しそうに花火を振り回す。
「うわっ、あぶねぇな」
海歩が利亜に言う。
「うぉー!」
そんな海歩をお構いなしに利亜は走り回る。
「あ!まて!」
海歩はそれを追いかけた。
「あははっ」
私はそんな2人を見る。
「夢彩さん、楽しいですか?」
すると隣に人が来た。
「へ?」
「俺、亮って言います。」
よろしくお願いします、と言った彼はさっき柊に声をかけ、人懐っこい笑顔を見せた子だった。
「亮....よろしく」
私は亮に言う。
「にしても、驚きました。」
「?」
「柊さん、人を拾ってくるなんて初めてなんですよ。
だいたい拾ってくるのは海歩さんや利亜さんで」
亮はそう言って手元の花火に火をつける。
拾われた......
もしかして、あの夜のことか?
まぁ言わないでおこう。
「柊は、偉いの?」
なんだか亮の言い方だと、柊が1番偉いみたいな言い方。
「そりゃあ偉いですよ!
総長ですもん!」
総長.......
「?」
「え、総長。わかりませんか?」
亮は驚いた顔で言う。
私は頷く。
「総長は、1番偉い人です。
ここのリーダーです」
リーダー......
「で、海歩さんが副総長って言って、柊さんの次に偉い人。
利亜さんと葉月さんは幹部で、その次に偉い人です。」
亮が全部説明してくれた。
なるほど。
だからあの幹部室には誰も入ってこないのか。
「ありがとう、教えてくれて」
「いえいえ全然!」
「あ、敬語やめてよ」
私なんかに敬語を使う必要ない。
「え、でも....」
「敬語、嫌い」
私がプイッとそう言うと、亮は笑って「わかった」と言った。
「じゃあ、夢彩さん。も可笑しいな!夢彩」
亮はそう言って再び笑った。
私もつられて笑った。


