「...そうか、すまなかった」
私は"迷惑"という単語を聞いて一応謝っておこう、と謝った。
すると男は一歩ずつ私に近寄ってきた。
「....!?」
それにあわせて私も一歩ずつ下がる。
トンッ
壁に背中が当たると、とてつもない恐怖に襲われる。
「い、いやっ.......」
自分にも聞こえないくらい小さな声で呟き、目をぎゅっと瞑る。
助けて、誰か。
するとふわっと頭に重みがきた。
「.....?」
ゆっくり目を開けると、男の手が私の頭をぽんぽん、と撫でていた。
「傷、大丈夫か」
私は"あの時"転んでしまって血が出た膝をみると、丁寧に治療されていた。
こくんと頷く。
「そうか」
男はそう言って私から手を離して私からも離れた。