お母さんの手伝いをしろ

のろまに動けば途端に平手が飛んでくる
慌てる母の声
僕が記憶するそれ程幼くもない日まで
繰り返される日々

兄は6つ年上で
とても大きな存在だった
それでも守って貰える程ではない
ただ、今思えば身を寄せあっていたのかもしれない

そんな風に義理姉から聞いたから


雑多な友達もいる
仕事もあって、そこにも仲間がいる
大切な大切な友達が1人、2人
どの関係性にも悩みや不安があり
当たり前の気遣いと苦労はある
当たり前のことだ

もう何年も何年もそうして生きている

灰色の空の下
工場の煙が空を一面にしているような
そんな空

いつから青い空を見ていないのだろうか

鳥籠を模した綺麗な籠に入れられた
綺麗な剥製の小鳥

ルリビタキと言うのだそうだ
チャコールグレーの背や羽には、所々に綺麗なコバルトの青と、鮮やかな山吹色の胸
そこから白い羽毛が腹を覆う
可愛らしい、小さな嘴と少しふっくらした手の平程の小鳥

この鳥も空を飛んでいたのだろうか
どうしてこんな剥製になってしまったのか

剥製にする為に捕らえられたのか
何かの事故か

黒い小さな硝子の目には蛍光灯の冷たい光が映るだけだ